近年注目されている有機系熱電変換材料に関して、以前より報告している巨大なゼーベック係数について、その発現機構の解明を目指している。本研究では、複数の有機分子が同様の巨大ゼーベック効果(GSE)を示したことから、その分子形状に着目し、複数の計算化学研究を実施した。その結果、DFT計算を用いた基準振動解析から、特異的な振動モードが関与している疑いが示唆され、また分子動力学計算による熱伝導率の算出により、導電方向における熱伝導率の低減がGSE発現の一因となっている可能性も示唆された。これらを実験から得た結果と突き合わせることで、GSE発現の有無や、分子配向効果等として観測されることを明らかにした。
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