近年、日本では、文化施設のみならず、都市や地域社会の社会空間の中で展開する芸術実践・文化事業の隆盛傾向が見られる。それらは多くの場合、アートプロジェクト(あるいは地域アート/地域型アートプロジェクトなど)と呼ばれ、古民家や廃校、廃工場、公園など多様な場を利用して展開することが多い。さらにアートプロジェクトは、人々の関係性を形成することや、地域活性化などの社会課題の解決など、社会的目的を掲げて展開することも多い。本研究は、これらアートプロジェクトを事例としながら、アートの社会における今日的意義や課題について検討していくことを目的としてきた。最終年度に当たる本年度は、これまでの調査内容や、それを踏まえた知見に基づく研究発表を進めてきた。具体的には、研究成果を元にした国際学会における発表2件(IGU国際地理学会議2022における口頭発表、並びに、The 117th Annual Meeting of the American Sociological Associationにおける口頭発表)、国際共著書(『Resilience as Heritage in Vernacular Asia』Amsterdam University Pressほか2件)への執筆などを行った。特に本年度は、都市における多文化共生とアートプロジェクトの関係性に関する研究発表などに焦点を当て、これら研究成果発表を行った。
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