近年、末梢神経障害の急性期に起こる大脳皮質神経活動の変化が研究されているが未だ不明な点は多い。本研究では、我々の独自に開発した光学的多領域膜電位測定装置を使用し、大脳皮質上の神経活動の広がり(興奮波)のパターンを指標として正常時と神経挫滅直後、あるいは神経麻痺およびその後の回復過程における変化を解析した。その結果、挫滅や麻痺などの神経伝達遮断時には特定の領域で興奮波伝播速度が低下し、再支配直後には正常時と比較して過剰な興奮が起こることを明らかにした。これらの結果は、興奮波伝播パターンの変化が末梢神経障害後に起こりうる体性感覚地図の再構成や感覚異常に影響を与える可能性を示した。
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