断層活動に伴う摩擦発熱温度を定量的に評価することを目的とし,陸上に露出する過去の沈み込みプレート境界断層の断層岩中に含まれる炭質物および100℃~1300℃まで加熱実験した炭質物のラマン分析を行った.加熱実験試料のラマン分析の結果,温度上昇と共にラマンスペクトルが大きく変化することが明らかとなった.特に600℃以上の加熱実験試料においてその変化が明瞭に表れた.断層試料のラマン分析の結果,断層の主要すべり面において700℃以上に加熱実験した試料のラマンスペクトルと同様のスペクトルが得られた.以上より,断層中に含まれる炭質物のラマン分析は,断層摩擦発熱温度を見積る上で有用であると考えられる.
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