これまで着目されてこなかったモリブデンを触媒として用いる炭素-水素結合直接変換反応を一から探索し、カルボニル基の脱酸素と炭素-水素結合切断を経る分子内環化反応を見出した。本反応は、カルボニル炭素がカルベン等価体として働き、sp3およびsp2炭素-水素結合へ挿入する興味深い反応である。また、ケイ素-水素結合切断を経るアレンのヒドロシリル化反応を開発し、DFT計算により前例のない位置選択性の発現要因を解明した。いずれの反応も、他の金属には見られない、モリブデンに特徴的な反応性や選択性を示すことを明らかにした。
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