研究課題/領域番号 |
15K21186
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
飯田 洋介 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50506152)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 西洋史 / 外交史 / ドイツ:アメリカ合衆国 / ビスマルク外交 / 独米関係 / プロイセン海軍 / アメリカ海軍 |
研究実績の概要 |
本研究は、南北戦争直後の米国にプロイセン首相ビスマルクが接近を試みていたことを示す史料を手掛かりに、独米関係という視角からビスマルク外交を再検討するものである。一年目である本年度の目標は、①これまでに集めてきた史資料の収集と整理、②米国での史料調査、③研究成果(中間報告)の公開であった。本年度の研究実績は、以下のようにまとめられる。
1.未公刊史料ならびに関連文献の収集:2015年5月にワシントンD.C.にあるアメリカ国立公文書館ならびにアメリカ議会図書館を訪問し、そこで1860年代後半におけるアメリカ国務省文書ならびに海軍文書を調査して史料収集に努めた。さらに、同年8月には本来予定にはなかったのだが、米国での史料調査の成果を踏まえて急遽ベルリンにあるドイツ連邦文書館とプロイセン枢密国家文書館を訪問し、関連するプロイセン外務省文書を調査して史料収集に努めた。未公刊史料の収集とあわせて、特に19世紀のプロイセン・ドイツ海軍に関する文献の収集にも努めた。
2.研究成果の公開:上記の史料調査結果を交え、1867年におけるビスマルクの対米打診に関するこれまでの研究成果をまとめたものを、1本の論文にまとめた。この論文は「1860年代後半のビスマルク外交とアメリカ合衆国:2つの対米打診を手掛かりに」という題目で、大内宏一編『ヨーロッパのなかの思想』(彩流社、2016年3月)所収論文として刊行された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標に設定した3点(①これまでに集めてきた史資料の収集と整理、②米国での史料調査、③研究成果の公開)を、いずれも予定通りに達成することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、考察対象時期を1867年から独仏戦争まで広げ、この時期のビスマルクの対米政策と独米関係の解明に努める。具体的には、これまでと同様に国内外で史資料を精力的に収集していく予定である。
その際、当初は米国での史料調査を計画していたのだが、ドイツとイギリスに調査先を変更することを検討している。その理由は、ビスマルクが1860年代後半に米国に打診した案件のなかの1つである海洋問題をめぐって、イギリスが大きく関与していることが今年度の調査で明らかになった。そこで、海洋問題をめぐる独米英三国間の駆引きという視角の可能性を含めて、ドイツでの再調査とイギリス国立公文書館所蔵のイギリス外交文書を調査する必要が生じたためである。
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次年度使用額が生じた理由 |
史料複写代(海外の文書館での委託業者による複写)を日本から振り込む際の為替相場の問題で、当初予定していた金額よりも若干下回ったため。
次年度の文書館調査で史料複写代がどの程度かかるか見通しが立てづらいため、ここで生じた金額は、当初予定していなかった物品に使うのではなく、次年度の史料複写代に割り当てたいと考えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
ここで生じた次年度使用額は、次回の史料複写代(その他)に割り当てることにする。
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