研究課題
メンデル遺伝型マイコバクテリア易感染症(Mendelian susceptibility to mycobacterial diseases; MSMD)は、BCG, 非結核性抗酸菌,結核菌,サルモネラなどの細胞内寄生菌に対して易感染性を示す原発性免疫不全症である。MSMDはINF-γR1, INF-γR2, IL‐12p40およびIL‐12Rβ1, STAT1などのIFN-γ, IL-12産生とそのシグナル伝達に関与する分子の先天異常であり、 種々の遺伝形式が報告されている。IFN-γのシグナル伝達異常は主として単球/マクロファージ系: 食細胞で認められる。多発性骨髄炎の合併はMSMDの約80%でみとめられる臨床的特徴のひとつであり、当科で経験した症例もすべて骨髄炎とそれに伴った骨融解像が認められた。破骨細胞は骨リモデリングにおいて骨吸収を行う多核の組織マクロファージであり、骨髄球系/ 単球系細胞の分化・融合で産生される。IFN-γは破骨細胞形成の強力な抑制因子として知られているが、ヒトにおいて抑制の分子機序は明らかにされていない。MSMD患者に認められる骨融解の機序としてIFN-γシグナル伝達が関与している可能性が考えられる。これまでの検討から、患者の骨髄炎病巣から本来骨髄内に局在しない破骨細胞が存在することを確認している。さらに骨髄単核球を用いたin vitroの検討で、IFN-γシグナル伝達異常症では、IFN-γによる破骨細胞形成の抑制障害をみとめ、破骨細胞の機能が亢進していることを明らかにしている。本研究では、IFN-γシグナルによる破骨細胞形成・機能の抑制分子機構を明らかにする。
3: やや遅れている
IFNGR1 および STAT1 異常症由来の iPS 細胞が未樹立である。また人工ヌクレアーゼを用いたIFNGR1, STAT1, IL12RB1遺伝子の完全欠損型iPS細胞の作製が現在進行中であり、当初の計画より遅れている。
本研究を遂行するにあたり、材料となる変異/完全欠損型iPS細胞の確保ができていない。研究協力者等に相談しながら早い時期に目的のiPS細胞を樹立したいと考える。正常iPS細胞を用いた破骨細胞への分化誘導およびIFN-γによる破骨細胞分化抑制の実験系は確立しつつあるので、変異/完全欠損型iPS細胞が出来次第、IFN-γによる破骨細胞形成抑制の分子基盤を解明したい。
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