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2015 年度 実施状況報告書

薬剤に対してプライムされた骨髄細胞に焦点を当てた薬剤性肺障害の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K21190
研究機関広島大学

研究代表者

中島 拓  広島大学, 大学病院, 病院助教 (90643792)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード肺線維症 / 骨髄移植 / ブレオマイシン
研究実績の概要

本年度は研究計画に従い「既にブレオマイシンの投与を受けた (プライムされたと表現する)マウス骨髄」および「ブレオマイシン未投与の (プライムされていない)マウス骨髄」をドナー細胞として用いた骨髄移植モデルを作成し,双方のレシピエントマウスにさらにブレオマイシン肺障害を誘導して表現型を比較検討した (それぞれ「プライム群」「対照群」とする).我々は既に「プライム群」にブレオマイシン肺障害を誘導すると,「対照群」と比較して肺障害が増悪することを確認している.我々は気管支肺胞洗浄液中の炎症細胞の比較検討を行うことで,「プライム群」で「対照群」と比較し,免疫制御に関わる分子であるB7Hファミリーのうち,B7H1およびB7H2発現には差がないが,B7H3陽性細胞が有意に増加することを見出した.さらに「プライム群」では「対照群」と比較して,気管支肺胞洗浄液のみならず,肺組織において線維化に関わるTGFβおよびTh2系サイトカインであるIL-4,IL-13と共にB7H3のmRNA発現が有意に亢進していることが確認された.
さらにプライムされた骨髄および対照群骨髄から単球系細胞のみをMACSシステムによりソーティング採取し,通常の骨髄移植の際に骨髄細胞と共に移植することで,「プライム群」と同様にレシピエントマウスにおける肺障害が増悪すること,プライムされた骨髄から得られた造血幹細胞のみでは同様の増悪の表現型が再現できないことを見出した.これにより,骨髄における未分化な造血幹細胞~造血前駆細胞でなく,より分化した単球系細胞にブレオマイシン投与を受けた情報が保存されているものと理解された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

プライム群および対照群の差異の鍵となる分子を見出すことは困難であると予想されていたが,比較的早い段階で差異を示すマーカー分子の候補を発見できたことは予想以上の成果であると考えている.

今後の研究の推進方策

我々は既に「同一個体内において傷害を記憶した細胞が存在していること」を明らかにする系として同一個体に期間を空けて2度のブレオマイシン投与を行う「2hitモデル」を確立している.この系を用いて,B7H3蛋白が前述の骨髄移植における「プライム群」と同様に変化を示すかを確認する。プレリミナリーな検討では本分子が「2hitモデル」の系においても変動していることが確認されており,B7H3ノックアウトマウスを用いて,本分子の役割をさらに追及できるよう準備を進めている.以上の結果をまとめ論文化を目指してゆく予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] University of Michigan(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Michigan
  • [雑誌論文] Inhibition of Plasminogen Activator Inhibitor-1 Attenuates Transforming Growth Factor-β-Dependent Epithelial Mesenchymal Transition and Differentiation of Fibroblasts to Myofibroblasts.2016

    • 著者名/発表者名
      Omori K, Hattori N, Senoo T, Takayama Y, Masuda T, Nakashima T, Iwamoto H, Fujitaka K, Hamada H, Kohno N
    • 雑誌名

      PLoS one

      巻: 11 ページ: e0148969

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0148969.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] MT95-4, a fully humanized antibody raised against aminopeptidase N, reduces tumor progression in a mouse model.2015

    • 著者名/発表者名
      Akita S, Hattori N, Masuda T, Horimasu Y, Nakashima T, Iwamoto H, Fujitaka K, Miyake M, Kohno N
    • 雑誌名

      Cancer science

      巻: 106 ページ: 921-928

    • DOI

      10.1111/cas.12692.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Histological Quantification of Gene Silencing by Intratracheal Administration of Dry Powdered Small-Interfering RNA/Chitosan Complexes in the Murine Lung.2015

    • 著者名/発表者名
      Ihara D, Hattori N, Horimasu Y, Masuda T, Nakashima T, Senoo T, Iwamoto H, Fujitaka K, Okamoto H, Kohno N
    • 雑誌名

      Pharmaceutical research

      巻: 32 ページ: 3877-3885

    • DOI

      10.1007/s11095-015-1747-6.

    • 査読あり
  • [学会発表] Clinically remitted childhood asthma is a risk factor for airflow obstruction in middle-aged adults2015

    • 著者名/発表者名
      Keitaro Omori, Noboru Hattori, Hiroshi Iwamoto, Takashi Yamane, Taku Nakashima, Yoshinori Haruta, Akihito Yokoyama, Nobuoki Kohno
    • 学会等名
      European respiratory society annual congress 2015
    • 発表場所
      Amsterdam, Netherlands
    • 年月日
      2015-09-26 – 2015-09-30
    • 国際学会
  • [学会発表] 膠原病肺における血清・BALF中 the receptor for advanced glycation end-product と肺機能・画像パターンの相関についての検討2015

    • 著者名/発表者名
      山口覚博, 岩本博志, 堀益 靖, 益田 武, 宮本真太郎, 中島 拓, 藤高一慶, 服部 登, 河野修興
    • 学会等名
      第38回日本呼吸器内視鏡学会学術集会
    • 発表場所
      東京, 日本
    • 年月日
      2015-06-11 – 2015-06-12
  • [学会発表] Suplatast tosilateの高酸素肺障害抑制効果、hydroxyl radical消去能についての検討2015

    • 著者名/発表者名
      福原 和秀, 益田 武, 岩本 博志, 中島 拓, 服部 登, 河野 修興
    • 学会等名
      第64回日本アレルギー学会学術大会
    • 発表場所
      東京, 日本
    • 年月日
      2015-05-26 – 2015-05-28
  • [学会発表] 放射線肺線維症マウスモデルにおける肺の線維化とPAI-1(plasminogen activator inhibitor-1)の関与についての検討2015

    • 著者名/発表者名
      塩谷 咲千子、服部 登、平野 有美、妹尾 直、益田 武、掘益 靖、中島 拓、岩本 博志、村井 博、河野 修興
    • 学会等名
      第55回日本呼吸器学会学術講演会
    • 発表場所
      東京, 日本
    • 年月日
      2015-04-17 – 2015-04-19
  • [学会発表] PAI-1は癌関連線維芽細胞の筋線維芽細胞への変化に関わり腫瘍進展を促進する2015

    • 著者名/発表者名
      益田 武、服部 登、大森 慶太郎、堀益 靖、中島 拓、岩本 博志、藤高 一慶、村井 博、河野 修興
    • 学会等名
      第55回日本呼吸器学会学術講演会
    • 発表場所
      東京, 日本
    • 年月日
      2015-04-17 – 2015-04-19

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-27  

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