研究課題
昨年度までの成果により、ブレオマイシンの気管内投与を受けた群 (プライム群)の骨髄を移植されたマウスでは、ブレオマイシンの気管内投与を受けていない群 (コントロール群)の骨髄を移植されたマウスと比較して、ブレオマイシン肺線維症が増悪すること、肺におけるB7H3 mRNA発現が亢進すること、気管支肺胞洗浄液中にB7H3陽性細胞が増加すること、が示された。骨髄移植には放射線照射など肺線維症を誘導しうる過程が含まれるため、それら骨髄移植に伴う前処置自体が肺線維症に与える影響を否定できない。そこで、B7H3タンパク自体が放射線照射を行わない同一個体においてにおいて肺線維症に与える影響について、放射線照射を介さないモデルを用いて検討した。我々の開発した「2hitモデル」では初回肺線維症を誘導しない少量ブレオマイシン気管内投与 (コントロールとしてはPBSのみ投与)を行うと、2回目の通常量ブレオマイシン投与によって引き起こされる肺線維症が明らかに増強される。この系を用いて、初回にブレオマイシン少量をする投与群 (2hit群)の肺では初回PBSのみを投与する群 (1hit群)と比較して、B7H3 mRNA発現が亢進されることが判明した。また、初回投与後に健常マウス骨髄を移植することで2hit後の肺線維症増強を回避できること、さらにB7H3 knock outマウスでは2hit群においても1hit群と比較して肺線維症増強が見られないことを明らかとした。これら2hit群では1hit群と比較して、気管支肺胞洗浄液中の可溶性B7H3タンパク増加が確認された。さらにヒト肺線維症の肺胞洗浄液中でも可溶性B7H3タンパクが検出可能であることが明らかとなった。これらの成果について論文を作成し、現在投稿準備中である。
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