研究課題/領域番号 |
15K21194
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
椎木 健裕 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30610456)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 四次元放射線治療 / 動体追跡放射線治療 / 画像誘導放射線治療 / 呼吸性移動 |
研究実績の概要 |
呼吸性移動を伴う腫瘍に対する4D放射線治療が普及しつつある。動体追尾照射や動体追跡照射の開発により、技術的に治療実施が可能となってきた。しかし、技術のみが高精度化する一方、技術精度を担保する品質管理法が確立されていない。そこで、肺・肝腫瘍近傍に留置された金属マーカを用いて行う動体追跡放射線治療にて記録される腫瘍の動きのログファイルを解析するソフトウェアの開発を行い、肺がん・肝がんの7症例に対して、動体追跡放射線治療中の肺腫瘍の呼吸性移動量と腫瘍の存在確率分布の再現性を定量化した。 肺腫瘍の呼吸性移動量は、左右方向で5.11 mm (2.58-9.99 mm)、腹背方向で7.81 mm (2.87-15.57 mm)、頭尾方向で11.26 mm (3.80-21.27 mm)となった。肺腫瘍は、呼吸運動よりヒステリシス運動を行うことが確認され、それを可視化することを可能とした。肝がんの症例に対して、三次元的な呼吸性移動量は、17.8±5.9 mmとなった。また、肝腫瘍は、呼吸運動により、直線的な運動をすることが確認された。また、肺・肝腫瘍に対して、治療期間中において、頭尾方向では、腫瘍の呼吸性移動量が大きくなるにつれて、さらに、治療が進むに従って患者の呼吸の再現性が低下していくことを示唆した。 開発したソフトウェアを用いて、呼吸性移動の移動量や経時的変化・再現性を解析し把握することで、治療をより高精度に実施することが可能となる。患者個別の呼吸性移動を様々な形で定量化することに成功し、マージン算出の高精度化および呼吸性管理の必要性の有無の判断に役立つと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画として、肺・肝腫瘍の呼吸性移動解析ソフトウェアの開発をあげていた。その開発が完了し、ソフトウェアの解析結果を基に、次年度計画している超高線量率動体追跡治療の精度検証法の開発に研究を移行することが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
開発したソフトウェアを用いて、腫瘍の呼吸性移動量のデータを整理し、このデータを用いて、超高線量率四次元動体追跡照射の検証方法の開発を行う。具体的には、呼吸データを入力して駆動する動体ファントムを用いて、超高線量率四次元動体追跡照射の治療計画シミュレーションと測定値の比較を行い、その精度を確認する。また、治療の際に取得される画像を用いて、照射実績の精度検証を行うソフトウェアの開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を学会発表で行ったが、論文としての発表が行えていない。論文の英文校正および掲載料として計上していたが、論文作成が遅れており、使用することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果の発表として、論文発表のための英文校正および掲載料に使用する予定である。
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