研究課題/領域番号 |
15K21194
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
椎木 健裕 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30610456)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 動体追跡放射線治療 / 画像誘導放射線治療 / 品質管理 / 呼吸性移動 |
研究実績の概要 |
呼吸性移動を伴う部位に対する放射線治療の対策として、新型動体追跡装置の研究開発を進めており、開発した装置を臨床導入した。この装置を安全に臨床導入するために、1.線量分布の検証 2.装置間の通信速度による精度検証 3.動体追跡装置の追跡精度検証 4.動体追跡装置による被ばく線量測定を行った。人間を模擬したファントムをベースとした検証であったが、安全に臨床導入可能であることを証明した。この成果は、Jornal of Applied Clinical Medical Physicsに掲載された。 また、上記結果より、新型動体追跡装置を用いた肺腫瘍に対する体幹部定位放射線治療を臨床開始した。しかし、実際の治療中の治療精度を検証する方法がなかったが、治療中に取得されるcine EPID画像と腫瘍の動きが記録されているログファイルを解析することで、実治療中の治療精度を検証する手法を開発した。肺腫瘍に対して新型動体追跡装置を用いた肺腫瘍に対する体幹部定位放射線治療を実施した3症例を、開発手法を用いて解析した。本治療は、呼吸性移動の影響を、左右、背腹、頭尾方向に対して、3 mm以内に抑制することが可能となり、更に、腫瘍の日間変動に対しても、各方向 3 mm以内に抑制することが検証され、高精度に治療が実施されていることがわかった。この成果は、Physics in Medicine and Biologyに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度研究予定であった新型動体追跡装置の精度検証を完了した。更に、臨床時の精度検証法の開発を完了し、成果報告も行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り、動体追跡装置に搭載されている透視装置の被ばく線量の最適化のために、患者の体内での被ばく線量を計算するシステムの構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は研究を推進するための研究環境整備のために、研究費を使用した。その研究成果報告を学会発表で行うことができたが、論文としての報告ができていないのが現状である。論文校正費用として考えていた費用が次年度使用額として生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
英文論文投稿のための、英文校正費用として使用する計画である。
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