研究課題
呼吸性移動を伴う部位に対する放射線治療の対策として、新型動体追跡装置の研究開発を行い、臨床導入を行ってきた。この装置は、2方向からのX線透視画像を用いることで、腫瘍近傍に留置した金属マーカの動きを画像処理により認識させ、腫瘍位置座標を算出する。この情報を基に、ある特定位置に金属マーカがきたときのみ放射線を照射する呼吸同期照射を可能とする。この治療は、X線透視による金属マーカのリアルタイムモニタリングにより初めて可能となる。しかし、ここで問題となるのが、X線透視による患者への被ばく線量である。我々は、DICOM-RT情報、動体追跡装置のログファイルおよびモンテカルロ法を用いた動体追跡装置による被ばく線量計算システムを開発し、患者個別の被ばく線量を臓器毎に計算することを可能とした。本システムは、実測による測定値と2%以内の計算精度を達成することができた。また、本システムを使用し、動体追跡装置を用いて肺腫瘍に対して体幹部定位放射線治療を実施した10症例において、被ばく線量を算出した。計画標的体積に対して、処方線量の最大で1.9%の線量増加、リスク臓器には高線量領域を確認したが、放射線障害が起こるほどの線量は確認しなかった。また、被ばく線量を低減するためには、呼吸同期照射の効率を向上させることを定量的に明らかにした。この成果は、Physics in Medicine and Biologyに掲載された。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件)
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