研究課題/領域番号 |
15K21195
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
黒田 剛士 静岡大学, 情報学部, 特別研究員 (50725950)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 時間知覚 / 小脳 / 非侵襲的脳刺激法 |
研究実績の概要 |
時間計測機構が内在するとされている小脳を対象とし,1秒以下と1秒以上の時間知覚に対して小脳の作用機序が切り替わる可能性という未だ見解の一致を見ていない問題について検証を行うことを目的にしている。特に,左右半球及び課題内容という変数に焦点を当てることで,小脳が関与する/しないという議論に留まらずに,小脳が時間範囲と課題内容に応じて処理半球を切り替えるという動的な特性を有する可能性について検証する。小脳の活動性を調節するために,近年実験心理学への導入が進められている経頭蓋直流電気刺激 (tDCS) を心理物理学測定に組み込む。基本的な実験の枠組みとして,実験参加者はスピーカーから呈示される二つの音を聴いた後,その二音の間の時間間隔をタッピングで再現する。tDCSにより小脳の活動性を調節した際に,時間間隔の再生にどのような影響が生じるのか,そして,その影響の仕方が1秒以下と1秒以上の時間間隔ではどのように変わるのかに着目して結果の分析を行う。本年度では,予備実験の結果に基づいて実験プロトコルを確立させることが活動の中心になった。予備実験では,右小脳の活動性を低下させることで1秒以下のタッピングの時間精度に影響が生じるという傾向が示唆されたが,その効果が被験者間で安定しているとは言い難く,より明確な結果を得るために実験プロトコルの見直しを行った。特に,tDCSを与えるタイミング,課題手続きについて検討し,確定したプロトコルに基づく本実験を現在進めている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は実験設備の構築と予備実験によるプロトコルの確定を中心に行った。確定したプロトコルに基づく本実験は既に開始しており,数名のデータを収集済みである。今後はデータの収集に専念し,研究成果をまとめる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
データの収集に専念する。複数の実験を行い,(1) 右小脳の作用機序が1秒以下と1秒以上の時間知覚に対して切り替わる可能性,(2) 左小脳との差異,(3) 課題に運動もしくは認知成分が介在することで小脳の作用機序が変わるか,の三点に着目して検証を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は,実験環境の構築と予備実験によるプロトコル確定が活動の中心であったため,費用の大半を装置に費やすことになった。当初の予定よりも効率的に予備実験を進めることができ,また,研究協力者との打ち合わせは別経費で賄うことができたため,実験参加者に対する謝金と旅費が当初の計画よりも少なく済ませることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
本実験を行い,データ収集に活動を集中させる。そのため,実験参加者を雇う謝金が必要になる。また,研究成果の報告を行うため,学会参加の旅費及び論文執筆に伴う英文校正などの経費が必要になる。
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