Wolfram症候群は膵β細胞の消失によりインスリン依存性糖尿病を発症する。分子病態として原因遺伝子WFS1の機能障害により引き起こされる小胞体ストレス及び酸化ストレス亢進が想定されている。本研究では、Wfs1欠損マウスのβ細胞は内分泌前駆様細胞に脱分化し、その一部はα細胞に分化転換することを明らかにした。これらのβ細胞の変容は、ストレス応答分子Txnipを欠損させたWfs1:Txnip二重欠損マウスにおいて抑制され、糖尿病の発症が抑制された。本研究は、β細胞脱分化が主因となり糖尿病を発症する疾患モデルを初めて明確に示すとともに、新規治療標的を同定した。
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