本研究では光ファイバーセンサーの微小化、集積化および高機能化を目指し、コア径を光波長以下としたナノファイバーを基板上集積する新規技術を発展させ、多点多機能センシングを実現することを目的とする。 平成29年度の計画は、使用する光ファイバーの変更に伴い作製条件を再検討したナノファイバー構造において目標である異種媒質の検出を屈折率の違いにより検出することを目的とした。これまでの結果から単純なナノファイバー構造では、目標とする検出感度すなわち異種媒質存在下での透過光強度の比が大きく(20dB程度)できないことが予想されたため、ナノファイバー内に周期開口列を集束イオンビーム(FIB)を用いて形成し、フォトニック結晶構造とすること、および金属ナノ粒子列を導入することで表面プラズモンによるナノファイバー内のモード制御を行うこと、の2つの手法について、構造変化に対応して数値計算、デバイス作製を試みた。コア径(2ミクロンから5ミクロン)およびコアとクラッドの組成が従来から変化したため、FIB加工条件および緩衝フッ酸溶液(BHF)によるウェットエッチング条件が変化したが、数値計算で検討したナノファイバーの作製に成功し屈折率センシングを実現した。 さらにフォトニック結晶構造およびプラズモン構造についても再度数値計算により最適構造を設計し、新規導入したスパッタ装置にて構造を作製した。この構造によりモード制御による検出感度の向上および生体や天文といった分野での光情報処理への応用が期待できる。 また申請者独自の光ファイバー加工技術である、光ファイバー端面へのプラズモン構造の導入法(透過スペクトル制御、伝搬モード制御)を本研究課題に援用し感度向上の可能性を検討した。
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