研究課題
1. 理論の追究(理論の精緻化)昨年度行った関連文献のレビューをふまえ,今年度は水資源管理のガバナンス論を精緻化することを目的として,カンボジアと同様にアジア各地で灌漑による稲作が行われている地域を対象に研究している専門家との研究会を重ねてきた.具体的には,インドネシア,ベトナム,日本について知見を共有し,昨年度導き出した仮説の検証を目的として議論した.この研究会を通じて,公的セクターと私的セクターをつなぐような共的組織が水資源管理のガバナンスにおいて重要な役割を担うということを確認することができた.これにより,カンボジアにおける水資源管理の望ましいガバナンスのあり方を提言するための土台を構築することができた.また,アジア各地の稲作灌漑に共通の課題として,水利組織の機能不全が水の適切な配分を困難にしていることが浮き彫りになり,新たに基盤研究の申請へとつながったことは学術的にも意義がある.2. 望ましい協力関係の追究(SWOT分析結果解析・協力関係図作成)昨年度のインタビュー調査で収集した情報をふまえ,まずはSWOT分析を行って各ステークホルダーの強み/弱みと機会/脅威を導き出し,それぞれの特性を明らかにした.そして,あるステークホルダーの弱みを他のアクターの強みで補完できるか,あるいは直面している脅威に対して他のステークホルダーとの協働によって改善への道筋が描けないか,などといった相互の関係性に着目して望ましい協力関係図を作成することができた.3. 実現可能性の追究(実行可能な水管理ガバナンスの政策提言)1.および2.をふまえ,また,何人かのステークホルダーと会合をもち,①農家の水利組織への主体的な関与を通じた灌漑管理への参加,②水利組織の機能および政府組織との関係強化の2つを,実行可能でなおかつよりよい水資源管理ガバナンスの実現に求められる政策として提言するに至った.
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すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)