研究課題
侵襲性肺アスペルギルス症(IPA)モデルマウスに99mTc-MAA(macroaggregated albumin)を尾静脈投与し、SPECT(single-photon emission computed tomography)撮像および病理切片を作成した。IPAモデルマウスの肺血流SPECT画像における肺血流の欠損部位と一致して病理画像ではAspergillusの血管侵襲および微小出血を認めた。さらにIPAモデルマウスのSPECT画像と細菌性肺炎モデルマウスのSPECT画像を比較することで、IPAでは病巣の明らかな血流低下を認めるのに対し、細菌性肺炎では病巣の血流低下の程度が弱く、同じ浸潤影であっても肺血流SPECTによる鑑別が可能であることが明らかとなった。本研究により、放射性同位体である99mTcで標識したMAAを利用した肺血流SPECTが、侵襲性肺アスペルギルス症マウスモデルの肺病変に対し優れた検出感度および鑑別能を有することを明らかにできた。本成果は肺血流SPECTが肺アスペルギルス症の早期診断に有用であることを示しており、平成27年には全国の臨床/基礎両分野の専門家が一堂に会する第59回日本医真菌学会総会・学術集会で優秀ポスター賞を受賞、さらに平成29年には真菌症フォーラム 第23回学術集会で最優秀賞を受賞するなど、その成果は内外から高く評価されている。さらに平成30年度に開催予定の医真菌学の世界で最も権威のある国際学会である20th Congress of the International Society for Human and Animal Mycologyでのシンポジウムの対象にも選ばれている。
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