本研究の目的は、屋外環境に設置された映像センサの協調により、複雑なシーン変化の伴う映像を高精度に分析する手法の開発である。屋外の映像は、その背景物や照明変動などにより、同じ物体であっても、画像としての見え方が異なるため、その認識は難しくなる。一方、近年の監視カメラや車載カメラなどの普及により、多くの映像源から得られる情報を統合的に解析することが出来れば、事故防止や災害の早期発見など、極めて応用範囲が広いシステムの実現が可能となる。本研究では、物体の移動などに伴う映像の変化を検出することで、多くのカテゴリの物体認識を同時に行うのではなく、変化の発生した部分のみを必要に応じて認識することで、映像解析のネックとなる演算のコストを下げることを検討した。環境の変化による照明等の変化を考慮し、部分空間法に基づく変化点検出手法を採用し、屋外の映像でも、逐次対応可能にした。 また、変化のあった部分の画像認識を高精度化するために、機械学習の中でも画像認識の精度が高いとされる深層学習を用いて、画像認識部を構成した。深層学習は、学習時の計算コストが高いものの、識別機としての性能を高く、背景物・オクルージョンなど屋外であることに起因する要因による画像のバリエーションに対しても有効に機能することができる。変化部の抽出と深層学習による識別を組み合わせることによって、実運用時の計算コストを考慮した手法の構築を行った。
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