研究課題
Programmed cell death 1 (PD-1) は負の補助刺激受容体で、近年がんの新たな治療法として注目されているがん免疫療法の標的分子である。この契機となったのは抗CTLA-4抗体ならびに抗PD-1抗体が、がん治療薬として承認されたことである。この阻害剤はがん細胞による免疫逃避機構を遮断することにより、免疫系のがん排除作用を再度活性化させる免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれ、がん治療に新たな選択肢をもたらし、現在も多くの臨床試験が進んでいる。しかしながら、抗体医薬品は生産コストが大幅に高いため、従来の低分子化合物医薬品と比較すると、非常に高価となり、年間数百万もの医療費を要し、このことが日本の医療財政の圧迫につながっている。そのため、本研究課題PD-1/PD-L1相互作用を遮断する阻害剤探索のために、低分子化合物によるスクリーニングを実施した。これまでに公的データベースからin silicoスクリーニングを実施し、PD-1/PD-L1結合を阻害する化合物の絞り込みを行った。1次スクリーニングではPD-1を発現した活性型のT細胞とPD-L1を高発現させたバーキットリンパ腫細胞株を共培養し、そこに化合物を作用させることで阻害効果を検討した。このT細胞による傷害活性は脱顆粒マーカーであるCD107aの発現を指標とし、ポジティブコントロールにはPD-L1抗体を用いた。その結果1次スクリーニングではPD-L1抗体より傷害活性の高い化合物を数個認めたものの、再現性検討を含めたスクリーニングでは十分に活性を認めなかった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Scientific Reports
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乳癌学-最新の診断と治療-
巻: 75巻 増刊号3 ページ: 155-160