研究課題
1)各種消化管癌臨床症例における光線力学的診断(photodynamic diagnosis:以下PDD)の有用性検討早期胃癌に対するPDD発光に関しては、5-ALAが有用であることを明らかにしたものの、未分化癌の抽出をどう克服するかについてはまだ解明できていない。ただし、食道癌に関しては、5-ALAよりも、直接的に治療につなげられるタラポルフィリンナトリウムの方が有用ではないかと考えている。PDD診断後そのまま治療に応用することを目的に、保険適応となった光線力学療法(photodynamic therapy:以下PDT)の環境整備を行い、実際にPDT治療を開始することができた。少数例ではあるが、タラポルフィリンの治療に対する臨床使用や治療効果については、満足のいく結果が得られた。2)癌の分化度によるPDD蛍光差異の原因についての検討早期胃癌において、未分化癌でPDD発光が不良であった原因は5-ALAの代謝経路であるABCG2およびPEPT-1について検討し、高分化癌よりも低発現であることが明らかとなった。分化度が低い癌種については、その他の癌種でも同様に、ABCG2やPEPT-1、その他の酵素について、発現の差異があるかはまだ明らかでない。例えば、早期大腸癌では胃癌と比較して、分化度が高い場合が多く、5-ALAによるPDDが有用である可能性を考えている。他癌種におけるPDD発光と代謝経路の酵素発現の差異については、食道扁平上皮癌、食道腺癌、大腸癌を中心に、ひきつづき検討中である。
2: おおむね順調に進展している
他の癌種における5-ALAによるPDD発光と代謝経路の酵素発現について検討中である。食道癌に関して、タラポルフィリンナトリウムによるPDD診断後そのまま治療に応用することを目的に、PDTの環境整備を行い、実際にPDT治療を開始することができた。タラポルフィリンの治療に対する臨床使用は満足のいく結果であり、今後は、診断も含めてどのように有効に使用できるか検討したいと考えている。
食道癌に関しては、タラポルフィリンナトリウムによるPDD診断が有用であるか、臨床上の応用を目指して症例を増やしていきたい。他の癌種における5-ALAのPDD発光と代謝経路の酵素発現についてひきつづき検討する。臨床応用が有用な癌種が確認できた場合は、消化管癌皮下移植モデルマウスを作成し、PDD蛍光強度を確認したい。
主に前年度から引き続きの研究内容であったため、物品費を必要としなかった。
他癌種の検討をすすめる予定であるので、次年度の方が細胞株や試薬経費を購入が必要になると考えている。
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