本研究は、18世紀、19世紀のナポリの民間劇場の担い手(興行師、観客、出資者)が誰であったのか、そして、どのような政治や新思想との関係においてオペラや演劇作品が上演されていたのか、諸史料より多角的に調査するものであった。とりわけ、王妃マリア・カロリーナが推進したと考えられる1780年代の”英国の勝利”を表象したオペラ群について、英国大使W.ハミルトンがどのような見解を持ったのか、大英博物館に残る報告書群を調査したが、具体的な記述を見出すことはできなかった。一方、ナポリ公証人文書、ナポリ銀行歴史文書館での調査において、劇場興行の実態にかかわる種々の一次史料を発見することができた。
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