本研究では、ある地方都市を事例に、既存データの再分析や、行政・学校・福祉関係者、支援者・団体等へのインタビュー調査から、地方における子どもの貧困実態と支援上の課題について実証的に明らかにすることを試みた。 A県内では2008年以降急速に子ども貧困状況が深刻化。ただ、「全体的に低所得」であるA県では貧困の問題はより見えづらい。高校・大学等進学率は一般世帯でもすでに都市部との格差があるなかで、生活困窮世帯の子どもの場合はさらに厳しい状況にあり、後継者問題や県外就職率の高さなどと結びついた教育期待・進路選択、支援拠点の偏在や公共交通機関の未発達による支援拠点へのアクセスの困難等が明らかとなった。
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