研究課題/領域番号 |
15K21265
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
高崎 博司 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (60404779)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 習慣的姿勢 / マッケンジー法 / 腰痛 |
研究実績の概要 |
本研究目的は、習慣的腰椎座位姿勢の改善がどの程度マッケンジー法による腰痛改善に影響するかを明らかにすることである。マッケンジー法は腰痛に対する保存的運動療法で、姿勢改善の手段としてランバーロールを用いることがある。2014年にLumoBackと言われるアイフォンで体幹の姿勢をモニタリングできるウェアラブル端末が発売され、LumoBackをマッケンジー法に併用することでより高い治療効果が得られると考えられた。本研究目的を達成するために2つの研究を行う予定であった。研究1は、ViMoveと言われる2014年にオーストラリアで発売された無線センサーを用いて、一日中の腰椎の姿勢を正確に記録し、コントロール群・ランバーロール使用群・ランバーロールとLumoBack併用群で腰椎の習慣的姿勢を比較することであった。研究2は、LumoBackとランバーロール併用群・マッケンジー法+ランバーロール群・マッケンジー法+ランバーロール+LumoBackの併用群の3群での腰痛患者を対象とした無作為臨床試験で、治療効果を介入後3週・6週・6か月・1年のフォローアップを行う予定であった。 しかしながら、2015年6月になって急遽ViMoveの日本での販売が製造販売元の都合で取りやめになったことを受けて研究1は方法の練り直しが必要となった。また、研究2のために2015年に一先ずLumoBackを10台購入したが、その後LumoBackの製造が急遽中止となり、当初の方法で研究するにはLumoBackの数が足りないため、研究2の方法も変更せざるを得なくなった。これらの不測の事態を受けて、当初の計画を修正する必要が生じた。本研究目的を達成するために新しく3つの研究(研究A-C)によって達成することとした。研究A-Cの概要については現在までの進歩状況でまとめる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
使用予定であった機器(ViMoveとLumoBack)の相次ぐ不測の販売の取りやめにより、当初の計画を修正する必要が生じた。現時点では代替品は見当たらないため、本研究目的を新しく3つの研究(研究A-C)によって達成することとした。 研究Aの目的は、LumoBackにより習慣的腰部姿勢の信頼性の高い評価が可能かどうかを検証することとした。LumoBackによる姿勢のフィードバック機能をオフにして、1週間の姿勢スコアに信頼性があるかどうかを検証する。現在、この研究に関して研究倫理審査を済ませ、2016年5月よりデータの採取を行う予定である。 研究Bの目的は、フィードバック機能をオフにしたLumoBackを腰痛患者に装着してもらい、マッケンジー法による介入前・中で腰部の姿勢が変化するかを検証することである。この研究に関しては2016年夏までに研究倫理審査を済ませてデータ採取に移る予定である。 研究Cは当初の研究2を修正し、2015年から腰痛患者を対象とした、マッケンジー法+ランバーロール群・マッケンジー法+ランバーロール+LumoBackの併用群の2群での無作為臨床試験(フォローアップは介入後3週・6週)である。被験者の組み入れが2015年8月より開始しているが、1施設では被験者の集まりが非常に悪い。そこで、今後は複数の施設で被験者の組み入れが出来るよう研究倫理の変更を申請中である(2016年5月現在)。研究倫理の変更が得られ次第直ぐに、複数の施設でのデータ採取に移る予定で、既に2施設からは研究協力の内諾を得ている。計3施設でのデータ採取で2016年度中に各群20名のデータ採取を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究A-Cは2016年度中にデータ採取を終えて、2017年度中の論文発表を目指す。研究Bに関して、腰痛被験者20名程度でのコホート研究を目指すが、被験者の組み入れが困難な場合は、ケーススタディーとして報告することも視野に入れて研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用予定であった機器(ViMoveとLumoBack)の相次ぐ不測の販売取りやめにより次年度使用額が大幅に生じた。これらの急な販売中止は、製品の欠陥が発覚したわけではなく、製造販売元の急な販売方針転換によるものであり、本研究を立案した時点では想定することが出来なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年7月にグラスゴーで行われるThe International Federation of Orthopaedic Manipulative Physical Therapists Conference 2016に参加し、本研究の研究計画について海外の様々な研究者とディスカッションを行うため、その旅費に充てる。また、新たな研究A-Cを行うに当たり生じる被験者への謝礼や研究協力者への謝礼(人件費・謝金)として充てる。更に、当初は研究論文2編分の英文校正費や出版費(その他)を計上していたが、研究論文3編の英文校正費や出版費(その他)としても次年度使用額を充てることとする。
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