最終年度では,「長期間使用によるユーザ調査」,「研究成果の対外アピール」,「完成したシステムのオープンソース化」を目標としていた.本研究を継続していく中で,目標としていた生活の中での自然なジェスチャーコマンドを実現するためには,なによりも日常生活に浸透性の高い入力デバイスの開発が重要であることが明確になった.それらの基礎設計が示されることで,有効なアルゴリズムが検討可能となるためである.そこで,本年度では本研究で開発したジェスチャー認識を実現可能な衣服を想定し,柔軟かつローコストな布型タッチパネルを開発し,それを利用したジェスチャー入力を実現した.「長期間試用によるユーザ調査」では,布タッチパネルの洗濯等における利用劣化を想定した実験を行った.「研究成果の大概アピール」では国際会議での展示発表,「完成したシステムのオープンソース化」では布型タッチパネルの制作動画の公開等を主に行った.
従来の布型タッチパネルでは,特殊な繊維を複雑に編み込むものや,タップなどの単純な入力を検出するものなどがあったが,2次元座標入力が可能かつ,柔軟で製造コストの低いタッチパネルは例がなかった.そこで従来から存在する抵抗皮膜方式を利用し,導電繊維と通常繊維を多層に重ねることでタッチパネルを実現した.本タッチパネルは布だけで構成されていることから,衣類に簡単に実装できるほか,洗濯にも耐性がある.本成果はACM Siggraph等の学術会議やコンペティションでの受賞(優秀賞)等の対外成果を残すことができた他,制作方法や部品選定,プログラムなどを全てオープンソースとしてWEB上に公開した.結果として国外から多くの問い合わせやあった.
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