研究課題
(1)麻酔下ラットのNTSにグルタミン酸またはドーパを微量注入し、降圧および徐脈応答に関する用量反応相関曲線を求めた。無用量のドーパはグルタミン酸応答を増強させた。この増強効果はドーパ拮抗薬であるドーパシクロヘキシルエステルで拮抗された。一方で、無作用量のグルタミン酸はドーパ応答に影響を与えなかった。(2)ドーパはNMDA受容体作動薬のNMDAに関する応答を増強させた。一方で、AMPA受容体作動薬のAMPA、代謝性グルタミン酸受容体作動薬のdihydroxyphenylglycineに関する応答には影響を与えなかった。(1)(2)の結果より、ドーパはNMDA受容体を介するグルタミン酸の作用を増強すると考えられる。このような作用が生理学的であるかどうか検討する必要がある。(3)GPR143が生理学的に心血管機能を調節するならば、GPR143遺伝子欠損マウスにおいて圧受容器反射が抑制されるはずである。アドレナリンα1受容体作動薬のフェニレフリン静脈内投与による圧受容器反射を検討したところ、予想外にフェニレフリンによる昇圧応答自体が GPR143 遺伝子欠損マウスにおいて著減した。また、単独では無作用量のドーパ (1,10 nM) はフェニレフリンによる血管収縮作用および細胞内カルシウム応答を増強させた。GPR143 が末梢自律神経系血圧制御機構を持つかどうかを検討した。GPR143遺伝子欠損マウスと血管平滑筋特異的GPR143遺伝子欠損マウスにおいて痛覚刺激時および夜間における血圧上昇の抑制が認められた。また、GPR143 遺伝子欠損マウスにおける血漿中ドーパ、ノルアドレナリン、アドレナリン濃度は野生型と比較し、同程度だった。(3)は JCI Insight に掲載された。ドーパおよび GPR143 は生理学的血圧調節に関与すると考えられる。
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JCI Insight
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10.1172/jci.insight.90903.