研究課題/領域番号 |
15K21274
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
勝又 陽太郎 新潟県立大学, 人間生活学部, 講師 (30624936)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自殺予防 / 援助要請 / 中高年男性 |
研究実績の概要 |
中高年男性に対する自殺予防対策に関しては、科学的に効果が実証された方法がいまだ確立されていない状況にある。本研究は、わが国の全自殺死亡に占める割合が最も高い中高年男性に対する効果的な自殺予防対策を検討するため、中高年男性の援助要請(help-seeking)の特徴を多角的に把握し、中高年男性と周囲の援助資源とを適切につなげるための方法論について考察を行うことを目的としている。
平成27年度研究では、横断的な観察研究のデザインで、40-59歳の一般成人男性1800名を対象にWeb調査を実施し、デモグラフィック要因、過去の自殺行動、アルコール関連問題、自身の悩み事、援助要請の特徴といった情報を収集したうえで、各変数間の関連性について探索的な検討を行った。平成28年度は、上記の平成27年度に収集したデータについて詳細な分析を引き続き進め、特に日本人男性の中でも自殺死亡率の高い離別経験者や無職者のデータを中心に多角的な検討を行った。
さらに、平成28年度研究では、一般中高年男性よりも自殺のリスクの高いと考えられる中高年男性の援助要請の特徴を把握することを目的に、負債や就労問題といった社会経済的な自殺の危険因子を抱えた中高年男性への関わりを経験したことのある対人援助の専門家に対する聞き取り調査を計画し、自殺の危険因子を抱えながらも専門的援助につながる中高年男性の特徴について予備的な検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度研究では、平成27年度研究で収集したデータの解析を進めたが、その結果は研究計画時に想定していた仮説を十分支持するとはいえないものであった。仮説が支持されなかった理由として、自殺のハイリスク者が調査対象者から除外されてしまっていることが大きな要因の一つであると考えられたため、よりハイリスク者の特徴を捉えられるよう、研究計画を部分的に見直す必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では、中高年男性の援助要請に影響を与える環境要因(文脈)の特徴を明らかにすることを目的に、中高年男性を取り巻く周囲の人が中高年男性の援助要請に対して抱いているイメージを大規模なWeb調査を実施して検討する予定であったが、今後の研究では、よりハイリスクな中高年男性を取り巻く環境要因を詳細に明らかにすることを優先させた研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の見直しによって、当初予定していたWeb調査が実施できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
新たに計画された面接調査においては、遠方での調査が計画されているため、その調査のための旅費として使用する予定である。
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