近年、指定薬物の浸透拡大が社会問題となっている。これらの薬物は体内で薬物代謝酵素により代謝物へと変換されるため、鑑定には代謝物標準品が必要となる。本研究では、指定薬物鑑定の迅速化を目指して薬物代謝酵素を発現させた遺伝子組換え酵母を用いた代謝物調製を試みた。 申請者は既に、代表的な薬物代謝酵素発現酵母を有しているが、指定薬物代謝に関わる酵素であるMAOおよびFMOの発現酵母を新たに構築した。基質市販品の入手が困難であったため、合成麻薬であるMDMAを用いた代謝物調製を試みたが、代謝物を調製することは不可能であった。今後は、入手可能なモデル化合物の代謝解析を行い、指定薬物の代謝予測モデルを確立する。
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