女性と子供の4割近くが鉄欠乏の状態である。また高齢者に亜鉛欠乏が多く、味覚障害や、摂食障害の要因となっている。鉄や亜鉛栄養価の高いコシヒカリを作出し、日々の米食からより多くこれらの栄養を摂取できれば、鉄欠乏性貧血症や亜鉛欠乏症の改善に貢献できる。本研究では重イオンビーム照射により得られたコシヒカリ変異体ライブラリーを用いて、鉄・亜鉛栄養価が高い新しい品種を作出を目指した。M5種子の稔率および表現型は既存のコシヒカリと同等であり、白米中の鉄・亜鉛含有量がそれぞれ最大で2倍、または1.5倍高い系統をそれぞれ選抜した。さらに次世代のM6種子でも鉄・亜鉛含有量をより安定して蓄積する系統を選抜した。
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