研究課題
心不全の発症・進展には心臓特異的転写因GATA4が重要な役割を担っている。本年度ではGATA4の二量体形成にp300のHAT活性がどのように関与しているのか、心筋細胞肥大とGATA4の二量体化形成、結晶構造解析について検討した。精製GATA4をグルタルアルデヒドによる架橋反応を行ったところ、GATA4の二量体化が検出された。また、GATA4二量体化ドメインの場合、少なくとも4量体まで形成していた。HEK293T細胞でのIP-WBの結果、p300によるGATA4のアセチル化が二量体形成のキープロセスであり、p300のScaffold機能やBridging機能は関与していないことが判明した。同定した二量体形成部位を3つタンデムに繋げた変異体(3xG4D)を発現させるプラスミドを作成し、HEK293T細胞に過剰発現させたところ、GATA4のアセチル化は変化せずにGATA4の二量体形成及び心肥大反応遺伝子であるANF、ET-1のプロモーター活性を抑制した。最後に初代培養心筋細胞に3xG4Dをレンチウイルスを用いて過剰発現させた。共焦点顕微鏡にて3xG4Dが心筋細胞核内に局在しているところを確認した。免疫染色の結果、フェニレフリンによって誘導される心筋細胞肥大反応が有意に抑制された。GATA4の二量体化部位に必須のドメインである308-326部位とDNA結合能に必須であるZinc Finger部位の立体構造解析を行った。GATA配列を含むDNAとの共結晶が得られ、結晶化スクリーニング、結晶化条件の最適化、X線回折実験を行った。その結果、3.1Åの解析像が得られた。現在、この結果を元に分子モデリングを構築中である。
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