救急・手術の現場で大動脈解離をはじめとする心臓血管疾患の救命において、人工心肺・PCPSなどの体外循環装置の使用は必要不可欠である。しかしながらこれらの装置の使用は使用時間にもよるが、大なり小なり血小板の活性化・機能低下を惹起してしまう。本研究では体外循環装置使用前後の血小板由来microRNA(miRNA)の変化について網羅的解析を行い、この病態におけるmiRNAの役割・アポトーシス誘発の機序などについて解明することを主眼として行った。 我々は次世代シーケンサー(NGS)のIon PGM systemを用いて、血小板由来miRNAについて配列特異的に解析を行った。これは従来のマイクロアレイ法、qRT-PCR法などと異なり既知配列に依存しない検索法であるため、未知のmiRNAも含めた高感度な検索結果を期待できる。しかしながら実際に研究を進めると人工心肺後の血小板数が低下した状態の検体からmiRNAを最低必要量抽出するのが想像以上に困難を極め、抽出してもシーケンスできる状態にできる検体は3割以下であった。これにより実験は大幅な遅れを余儀なくされているが、これまでに得たシーケンスデータからすでに少数ではあるが有意差をもった変化を伴うmiRNAが見つかっている。(現在も検体数を増やすべく実験継続中であり、結果については今後論文化の予定があるため内容について言及することは差し控える)
|