研究課題/領域番号 |
15K21289
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
林 史和 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 助教 (30723291)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 慢性肝炎 / 肝硬変 / 骨粗鬆症 / サルコペニア |
研究実績の概要 |
慢性肝疾患は、2次性の骨格筋減少症(サルコペニア)のリスクの1つである。サルコペニアは、肝硬変患者の予後を悪化させたことが報告されており、臨床現場にとってサルコペニアの予防や治療方法の確立は、喫緊の課題である。また、慢性肝疾患は、骨粗鬆症のリスク因子である可能性が示唆されている。サルコペニア・骨粗鬆症は、共に転倒を誘発し、骨折のリスクを増加させる可能性がある。骨折は寝たきりの要因となり得ることから、高齢な慢性肝疾患患者の健康寿命、生活の質を低下させるかもしれない。しかしながら、慢性肝疾患患者におけるサルコペニアと骨粗鬆症の関連性は、まだ明らかとなっていない。そこで、我々は肝がん患者を対象に、サルコペニアと骨粗鬆症の関連性について検討を行った。対象者は、肝切除術前のHCC患者112名である。我々は2重エネルギーX線測定法(DEXA)を使用して、サルコペニアと骨粗鬆症を診断した。さらに、患者背景、臨床検査値、心肺運動負荷試験(CPX)から得た運動耐容能を評価し、サルコペニアと診断された患者をサルコペニア群、されなかった患者をコントロール群とし、2群間で比較検討を行った。結果として、肝がん患者112名中、30名(26.8%)の患者をサルコペニアと診断した。DEXAにより評価した骨粗鬆症の指標であるT-スコアは、コントロール群の男性と比較して、サルコペニア群の男性で有意に低下していた。多変量解析を行った結果、Tスコアは、性別、年齢とは独立して、サルコペニアとの関連性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝がん患者のサルコペニアは、骨粗鬆症と関連する可能性を示した。このことから、筋肉量とともに骨密度を維持することが、慢性肝疾患患者におけるサルコペニアの予防にとって、重要な鍵となる可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
現在、慢性肝疾患患者のサルコペニアと栄養素摂取量やQOLの関連性について検討を行っている。また、健常者を対象に日常生活における身体活動量を評価する機器の妥当性を評価した上で、慢性肝疾患患者の身体活動量の測定を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
食事調査時において、データの一部に欠損が見られたため、再評価を行った。予想以上に時間がかかり、データの解析を次年度に持ち越したため、当該年度において支出する予定であった栄養素摂取量評価のための解析費も、次年度に持ち越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在も食事調査は継続中であり、昨年度分を含む栄養素摂取量評価のための解析費として使用する予定である。
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