C型慢性肝炎の根治的治療として、直接型抗ウイルス薬を用いたインターフェロン(IFN)フリー療法があるが、治療中に詳細な栄養評価を行った報告はない。そこで、IFNとIFNフリー療法による栄養状態への影響について比較検討した。対象は、A大学附属病院外来で抗ウイルス療法にてウイルス学的著効(SVR)となったC型慢性肝炎患者53名である。治療前、治療12週時点、治療終了時に身体計測、食事調査、血液生化学検査の結果を評価した。IFNフリー群では、INF群に比べ、筋肉や体脂肪の減少が有意に抑制された。また、IFNフリー群は、血液生化学的栄養状態が有意に改善した。さらに、IFNフリー群では、治療前後でエネルギー摂取量が変化しなかった。これらの結果は、栄養学的観点から観て、IFNフリー療法が身体への負担の少ない治療法であることを示唆した。 近年、慢性肝疾患患者の骨格筋量減少は、予後悪化の要因として注目されているが、骨格筋量減少の機序は、完全には明らかではない。我々は、B大学附属病院消化器外科を受診した肝がん患者112名を対象に、その要因を解析した。DEXAにより、骨格筋指数(SMI)および骨粗鬆症の指標であるT-scoreを評価した。骨格筋量減少は、アジア人のSMIのカットオフ値(男性<7.0kg / m2、女性<5.4kg / m2)により判定した。T-score≦2.5SDを、骨密度の低下と定義した。さらに、身体運動負荷試験により、最高酸素摂取量を評価した。結果として、骨格筋量が少ない肝がん患者は、T-score、最高酸素摂取量が、有意に減少していた。多変量ロジスティック解析の結果、T-scoreの低下及び最高酸素摂取量の減少が、年齢、性別とは独立して、骨格筋量の減少と有意に関連することを示した。肝疾患に伴う骨格筋減少には、筋肉と骨の間のクロストークが関与している可能性を示唆した。
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