電場の印加によってナノ粒子が細胞膜を透過する現象に焦点を当てた。特に、人為的に操作可能な制御因子であるナノ粒子の物性と電場の印加条件の影響を、分子動力学(MD)シミュレーションを用いて解析した。その結果、微弱な電場の印加によってナノ粒子が細胞膜を直接透過する現象を初めて見出した。この透過経路では、ナノ粒子侵入時に膜貫通孔が自発的に形成し、これを通じて粒子が細胞膜を直接透過した。加えて、粒子の膜透過後に細胞膜は自己修復した。すなわち、細胞へのダメ―ジが小さくてかつ高い送達効率を兼ね備えた、新奇で意義深い透過経路を見出すことができた。
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