研究課題/領域番号 |
15K21293
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
直原 一徳 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (90458000)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光受容タンパク質 / 直線偏光 / 円偏光 / 光反応速度 |
研究実績の概要 |
クリプトクロムはほとんどの生物に存在する青色光受容タンパク質であり、一部生物種では光依存的磁場認識センサーとして機能する可能性が報告されている。本研究課題は、クリプトクロム光反応の励起光源に偏光を用い、外部磁場の相対角度を変化させて、光誘起電子移動反応が外部磁場により受ける影響を測定することを最終目的としている。 研究の遂行には高純度のクリプトクロム資料が大量に必要であるが、前年度において大量精製を主に行い、必要量を満たしていると思われるタンパク質量の獲得している。 励起光源である直線偏光を照射してクリプトクロムの光反応を測定する系について、波長選択された蛍光光度計の光を分光光度計のセルホルダーまで光ファイバーで誘導する系を作り、偏光フィルターをセットして測定可能な状況に立ち上げた。 クリプトクロムに励起光源として直線偏光を照射する実験系に先立ち、磁場認識機構がない光受容タンパク質(シロイヌナズナ由来 ファイトクロムB)を行った。偏光の種類(直線偏光・左右円偏光)による光反応効率の変化は、ごく少量であるというデータを得ていた。しかしその後、解析方法に不備があることが発覚し、再度全データの解析をおこなった。その結果、ファイトクロムBにおける偏光の種類による光反応効率の変化は全くなかったという結論に達した。よって今後クリプトクロムの測定において、直線偏光・左右円偏光を照射した際に少しでも光反応効率に差が見られた場合には、電子移動反応が偏光の種類によって変化する事象を考慮して解析作業をする必要性が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
直線偏光および左右円偏光をモデル生物シロイヌナズナに照射し、種子発芽・成長度に対する影響測定の共同研究において、左右円偏光で植物の表現型に差が表れたとの報告があった。そこで、その生物の光形態形成に関与する光受容タンパク質ファイトクロムに対して、直線偏光および左右円偏光を照射することにより光反応への影響を測定した。クリプトクロムに励起光源として偏光を照射する実験系に先立ち、磁場認識機構の報告がないファイトクロムは良い比較データになると考えられた。しかし、測定条件に誤差が生じる箇所が判明していたため、再度、数百におよぶデータを再度解析する必要が生じた。再解析の結果、ファイトクロムの光反応は偏光の種類(直線偏光・左右円偏光)によって影響を受けないことが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
クリプトクロムに励起光源として偏光照射をする測定に先立ち行ったファイトクロムへの偏光照射測定はすでにデータが完成された。現在は共同研究の分担個所を完成させ論文アクセプトへ向けての体制にある。 ファイトクロムへの偏光照射測定の結果から、クリプトクロムへ直線偏光・左右円偏光を照射して光反応効率の影響を測定する際においても、かなり精密な測定を行う必要があるということが予想される。 また、外部磁場効果によるクリプトクロム光反応が検出できたとしても、変化は非常に微妙である可能性があり、その定量は簡易には出来ない可能性も予想される。磁場効果によるクリプトクロム光反応変化が検出・定量が可能になった場合には、偏光を外部磁場に対し任意角度で照射する系を作成する。この実験系において、クリプトクロムの励起光源である直線偏光と外部磁場の相対角度を変化させたとき、光反応の変化を検出できれば、クリプトクロムが磁場方向認識のための磁気センサーとして妥当かを考察できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
光受容タンパク質ファイトクロムを用いた直線偏光および左右円偏光を照射による光反応への影響測定について、タンパク質サンプル調整は他の研究費で賄われた。また、直線偏光および左右円偏光を発生させる光学フィルターは、このテーマの共同研究先であった(株)富士フィルムより提供を受けため、現段階では測定系の改造を施行しなくてよくなった。分光測定装置や照射源としての蛍光分光光度計も既存の装置を用いたため、今年度は出費を抑えてデータを得ることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
偏光照射のコントロール実験として行った、磁場認識機構がない光受容タンパク質(ファイトクロムB)への直線偏光・左右円偏光照射による光反応効率影響測定において、測定・解析のやり直し等、予想以上に期間が掛かってしまったため、早急にクリプトクロムの偏光照射測定に入ることを想定している。
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