研究課題/領域番号 |
15K21301
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
大山 剛史 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (40462668)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 利き手 / 認知 / ヒトの運動 |
研究実績の概要 |
(1) 手先に負荷がかかる姿勢固定タスクについて、手先の視覚情報が与えられない条件において、非利き手の方が手先が元の姿勢に戻る時間が利き手よりも短く、更に、非利き手の方が上腕二頭筋・三頭筋の共収縮が利き手よりも起こりやすいことが明らかになった。(2) 矢状面における2点間の到達運動タスクについて、上腕二頭筋の使い方が異なる運動として前後方向と上下方向を条件に設定した。運動の精度について、前後方向では左右の腕間に有意差はなかったが、上下方向では利き手の方が有意に誤差が小さかった。上腕二頭筋のはたらきについて、前後方向では左右の腕間に有意差はなかったが、上下方向では利き手の方がより上腕二頭筋を使っていることが明らかになった。これらのことから、姿勢固定タスクのような等尺性運動では非利き手は上腕二頭筋を有効に使うが、到達運動のような等張性運動では異なることが示唆された。(3) 利き手と非利き手の運動を判別できる量的データについて調べた。書字運動のデータに対してニューラルネットワークを用いた判別の結果、速度と加速度に関するデータの周波数成分を用いることで未学習のデータに対しても利き手と非利き手の運動を判別し得ることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動中における利き手と非利き手の筋のはたらきの違いについて、二関節筋や共収縮において差があるが、それらの差は姿勢固定と到達運動では必ずしも同様な結果にはならないことが明らかになった。また、利き手と非利き手の運動の違いを表す量的データとして速度と加速度に関する周波数成分が一つの候補として明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 筋の共収縮の違いが運動に与える影響を調べるために、計算機シミュレーションによる主動筋・拮抗筋構造で駆動する単関節アームに関する実験を予定している。(2) 利き手と非利き手の運動の違いを表す量的データに着目した運動学習アプリケーションの開発と試験を予定している。(3) (2)の実験とも関連して、利き手と非利き手の特性を生かしたユーザーインタフェースに関する実験を予定している。昨年度行ったボタン等の配置を想定した実験においては、利き手と非利き手の違いよりも被験者間による違いの方が強い影響が現れていたため、条件等を整備した上で改めて実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3次元位置計測装置LIBERTYの購入に際して、入札により当初の見込みよりも安価で購入することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
3次元位置計測装置LIBERTYの活用を図るために、同装置のオプション品の購入を予定している。
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