環境認識センサとしてのカメラの特徴を考えると.夜間(暗所)への対応が難しいという欠点を有する.その一方で,カメラをベースとした自動車の安全装備が急速に普及し始めており,この欠点は早急に克服すべきといえる.そこで,本研究では夜間撮影可能な長波長赤外線カメラの導入と,3次元的に高度な認識処理を行うためのステレオビジョン構築を行い,昼夜問わず利用可能な環境認識の実現を目指す.ただし,長波長赤外線カメラは物体の放射温度を画像化するためにテクスチャが乏しい画像しか得られず,視差計算などの処理が非常に難しい.本研究では,このような画像においても安定した各種処理を可能とする要素技術を新たに提案し,ナイトステレオビジョンの構築と評価を行うことを目的とする. 初年度では,長波長赤外線カメラで使用可能なキャリブレーションターゲットの作成,ステレオビジョンとして使用するためのシステムセットアップ,テクスチャに乏しい画像で使用する視差計算手法の検討を行う予定であった.このうち,キャリブレーションターゲットの作成については,発熱素子を利用することで長波長赤外線カメラでの撮影可能なものを作成した.また,長波長赤外線カメラの納入が予定よりも大きく遅れたものの,同期撮影が可能なステレオビジョンシステムの構築を完了した.しかし,この段階で一身上の都合により事業継続が困難となったため,やむなく事業廃止の申請を行い承認を受けた.
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