研究課題/領域番号 |
15K21304
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研究機関 | 新見公立大学 |
研究代表者 |
矢嶋 裕樹 新見公立大学, 健康科学部, 准教授 (00550469)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高齢者 / 援助要請 / 精神的健康 / 中山間地域 |
研究実績の概要 |
本研究は、中山間地域に居住する高齢者の援助要請の実態とその促進・阻害要因、援助要請の帰結を実証的に把握・解明することを目的としている。今年度は、援助要請に関する文献検討を踏まえ、中山間地域に居住する高齢者を対象に郵送による無記名質問紙調査を実施した。調査地域は新見市とし、調査対象は同市内の国勢調査区(町丁・字54区)毎に無作為抽出された高齢者1,182名とした。調査内容は、援助要請先、被援助志向性(「自力での解決が困難な諸問題に関して、身近な他者(専門家も含む)に必要な援助を求めることに対する態度」と定義)をはじめ、援助ニーズ(悩みの深刻度)、ソーシャルキャピタル、ソーシャルサポート、首尾一貫性感覚(SOC)、精神的健康などで構成した。調査の結果、731名から回答が得られた(回収率61.8%)。調査データに基づく現段階での解析結果は次のとおりである:1)男性は女性と比べて被援助志向性が低かった、2)独居、閉じこもり傾向がある、サポート授受の機会が少ない者ほど、被援助志向性が低かった、3)ソーシャルキャピタル(個人レベル)が低い地域に居住する者ほど、被援助志向志向性が低かった、4)SOCが低い者ほど、被援助志向性が低く、精神的健康が不良であった、など。現在は、地域レベルのソーシャルキャピタルが当該地域に居住する高齢者の被援助志向性に与える影響について検討しているところである。なお、本調査の結果1)2)については、学会・論文発表した。引き続き、調査データの解析を進め、高齢者の援助要請行動を促進するための個別的介入および地域全体の介入のあり方について考察を深めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた中山間地域における高齢者の援助要請と社会環境的要因(ソーシャルキャピタルなど)の関連について十分な検討ができていない。これは所属大学の改組・改革に向けた準備会議、広報業務、大学院生への研究指導等、研究計画段階では想定していなかった業務による多忙化のため、十分な研究時間を確保することができなかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の遂行に多少の遅れが生じているものの、研究目的を達成するために必要な文献や調査データの収集は既に完了している。今後は、援助要請の社会的環境的要因(ソーシャルキャピタルなど)についての精緻な解析を進め、その結果を論文や報告書にまとめて公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
繰り越し分の研究費は、文献複写費、図書購入費、報告書等の印刷費、学会発表のための旅費、論文投稿費として使用する予定である。
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