研究課題/領域番号 |
15K21305
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
増田 広美 (植村広美) 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (10614000)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中国 / 職業教育 / 労働市場 |
研究実績の概要 |
中国では改革・開放政策の始まった1980年代初頭から、国家レベルの重要課題として中等レベルでの職業教育の拡大に取り組んできたものの、2000年以降、進学率の低下とともに職業教育政策は停滞に転じた。しかし、およそ10年後の2010年に中央政府が「国家中長期教育改革と発展計画綱要(2010-2020年)」を打ち出し、再び職業教育の拡大政策を重要課題として位置づけ、職業教育の実施過程を構造的に変化させることを決断した。すなわち、労働市場に見合った形で職業教育の量的拡大を達成するため、ある程度、市場の自由度を取り入れることを目的とし、職業学校の設置、運営主体を政府から民間にシフトする方針がとられることになったのである。 そこで、本研究では21世紀を迎え新たな局面に展開される中国の職業教育政策について、政府の直接的なコントロールから開放された中等職業学校の市場が、どのような量的拡大を見せ、どのような質的な変容を遂げるのか、その展開メカニズムを明らかにすることを目的としている。 具体的な分析の視点としては、第一に、2010年以降の職業高校をはじめ中等レベルの職業学校の入学者数の推移を把握することにより、新しい職業教育政策がどの程度の量的拡大をもたらしたのかを明らかにする。第二に、職業学校の設置・運営の主体が民間にシフトすることで、誰が新しい学校の管理・運営者となり、経費財源の構造、教育の実態がどのように様変わりしていくのかを個別具体的に明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に実施した現地調査において、職業高校を中心とした中等職業学校の入学者数を把握するための関連データ・資料の収集を行うことができた。併せて、新しい学校設置者を確認するため、教育部主導で実施された職業学校普及調査レポートを入手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1年目では中等職業学校の入学者数、学校設置者に係る統計調査データを収集した。それらを踏まえ、2年目では実際に職業学校を訪問し、学校の経営戦略を把握するためのインタビュー調査を実施する予定にしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
交付された補助金を使用するにあたり、10円単位では把握していなかったため21円の次年度繰越額が発生してしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
基本的には交付された補助金のすべてをその年度内で使う予定にしているため、使用に際し詳細に把握していきたい。
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