研究課題/領域番号 |
15K21315
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研究機関 | 千歳科学技術大学 |
研究代表者 |
林 康弘 千歳科学技術大学, 理工学部, 助教 (50382544)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コンピュータ・プログラミング / 反転授業 / アクティブラーニング / eラーニング |
研究実績の概要 |
コンピュータ・プログラミングでは、学生は、制御フロー表現、文法の正確さ、アルゴリズム、という知識と技能を一体として習得する必要がある。この効果的な教授に向けて、2013年度より授業での知識定着・確認を図る確認テストや知識活用・創造を図るアクティブラーニングのための反転授業を実践してきた。2015年度においては、この実践を通じて得られた課題を踏まえて反転授業の実施手順を改善し、その評価を行った。具体的には次の通りである。(1)学生が予習した内容をどれくらい理解できたかその時に確認できなかった。今回、学生のニーズに応えるために予習用確認問題を設定した。(2)教材内容が分かりにくい、授業進度を変更する等の場合、教員が次の授業前までに予習用教材の内容を容易に変更できなかった。今回、教材作成に用いたPowerPointデータから動画を生成し対応した。(3)実習時に他の学生との協調作業を伴うアクティブラーニングの内容が充実していなかった。今回、この実施方法を改善した。これらの成果を関連学会にて発表し、教育システム情報学会全国大会において大会奨励賞を受賞した。(4)反転授業とアクティブラーニングによるプログラミング技能習得に向けた教授方法の確立と学習支援の仕組みの構築を図るために、情報系に限らない各大学におけるアクティブラーニングの事例調査を行い、プログラミング科目での実施可能性が高いものを選定した。(5)プログラミングの学習支援を図るシステムのためのデータベース構築及びプロトタイプの実装、予習・復習時の学生への自動的な教材提示のためのアルゴリズムの検討と既存研究の調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通り必要なデータベースの構築とプロトタイプシステムの実装を図っている。このため,現状としておおむね順調に進展しているものと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、大きく2点について行う。 (1)学生の理解度と学習意欲の推測の手法の構築 収集した学生の学習履歴データをもとにして、個々の学生の理解度と学習意欲を推測する。理解度の推測には、予習後と授業開始直後のそれぞれで行う知識確認のための演習問題(確認テスト)、反復学習の回数等のデータを用いる。学習意欲の推測には、学生の学習頻度、自己評価や学生アンケートによる5段階評定等のデータを用いる。 (2)演習問題の動的提示機構の構築 対象科目の予習と授業から得られる過去と現在の履修者の学習履歴データを活用し、学習者の理解度と学習意欲に応じた演習問題の動的提示機構を構築する。他の履修者がどのような演習問題でつまづき、解決したのかを分析し、理解度と学習意欲が高い場合、難しくやりがいのある問題を、理解度が低く学習意欲が低下している場合、優しく解きやすい問題を提示する。提示手法として、協調フィルタリング、項目反応理論等を参考にしながら独自アルゴリズムを構築する。 なお、研究が当初計画通りに進まない場合、以下の対応を施す。(A)実際の授業での実証が不可能になった場合、実証用科目の提供を募集するほか、実験的授業に切り替えて評価を実施する。その際、多様な特性を持った学部生・大学院生を集める。(B)面接調査に応じる者がいない場合,メールや書面で回答を依頼するアンケート調査を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会での発表に際して早期に航空券を取得したため費用が安く済んだため。また、予定していた物品の価格が下がったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今期の予算の使用計画は以下の通りである。(A)設備備品費として、主にiPad mini3/AppleCare、情報教育関連図書、DB・ICT関連図書等を購入する。また、(B)消耗品費として使用する。
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