研究課題/領域番号 |
15K21322
|
研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
佐藤 慶太郎 朝日大学, 歯学部, 講師 (10549041)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 耳下腺 / アミラーゼ分泌 |
研究実績の概要 |
外分泌腺開口分泌機構の解明を目指して、耳下腺アミラーゼ分泌を中心にMyristoylated alanine-rich C kinase substrate (MARCKS) の関与について検討した。今年度は、MARCKSリン酸化を引き起こすProtein kinase C (PKC) の解析を中心に行い、以下の内容を得た。a) ラット耳下腺腺房細胞に分泌刺激剤であるイソプロテレノールを作用させて引き起こされるMARCKSリン酸化は、PKCδ特異的阻害剤で抑制された。 b) PKCδ特異的阻害剤はイソプロテレノール誘発性アミラーゼ分泌も同様に抑制した。 c) Phospholipase D (PLD) 特異的阻害剤は、イソプロテレノール刺激により引き起こされるMARCKSリン酸化を抑制した。 d) PLD特異的阻害剤はイソプロテレノール誘発性アミラーゼ分泌も同様に抑制した。これらの結果から、耳下腺においてイソプロテレノール刺激により引き起こされるMARCKSリン酸化とそれに続くアミラーゼ分泌は、PLDを介したPKCδの活性化により調節されていることが示唆された。よって、MARCKSの局在する脂質ラフトにPLDやPKCの調節機能があることも考えられ、非常に興味深い。昨年度までにMARCKSが脂質ラフト上で機能発現することを示唆する知見を得ていたが、MARCKSの局在する脂質ラフトがより多くの細胞機能を調節している可能性が生じた。このことを考慮に入れ、次年度は脂質ラフトに発現しているSNAREタンパク質だけでなく、シグナル伝達調節因子も含め、MARCKSとの関連性を解析する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者である佐藤は、申請時に所属していた獨協医科大学から平成28年7月より現所属へと異動となった。年度途中での異動となり研究環境整備に手間取ったため、脂質ラフト解析の成果を年度内に報告するまでに至らなかった。一方、MARCKSリン酸化機序の解析については、順調に進展している。耳下腺腺房細胞アミラーゼ分泌の細胞内情報伝達のセカンドメッセンジャーはcAMPであり、その下流にはPKAがある。本研究課題において、さらにその下流にPLD、PKCδが存在することを示唆する知見を得ており、今後の研究展開における重要な成果と位置付けている。
|
今後の研究の推進方策 |
アミラーゼ開口放出を生じる耳下腺腺房細胞の脂質ラフトが、MARCKSリン酸化とそれに引き続き起こるMARCKS局在変化の前後にどのような機能を発揮するのか、SNAREタンパク質、シグナル伝達調節因子の挙動から探り、得られた知見を統合する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者である佐藤は、申請時に所属していた獨協医科大学から平成28年7月より現所属へと異動となった。年度途中での異動となり研究環境整備に手間取ったため、脂質ラフト解析の成果を年度内に報告するまでに至らなかった。次年度も引き続き脂質ラフト解析を行うため、必要な物品費を計上した。
|
次年度使用額の使用計画 |
実験動物より採取した試料を用いて直ちに実験を行うため、脂質ラフトの試料を一度に多く確保することは難しい。よって実験動物のラットを当初の予定より20匹を多く購入する (20匹x3千円)。さらに脂質ラフト抽出キット (40千円)を購入する。
|