本研究は、思春期における子どもの問題行動とこの時期の家族関係との関連を明らかにし、子どもの問題行動の低減と関連する家族関係の在り方を検討することである。 2016年度では、2015年度の中学生700名を対象とした予備調査の情報をもとに、家族関係、ならびに子どもの問題行動を測定する尺度を精緻化し、中学生264名(男子135名、女子129名)のデータから分析を行った。より具体的には、家族関係を捉える項目を、結びつきと勢力に限定し、中学生が回答可能な項目に修正を行い、父親、母親、青年といった3者関係それぞれを詳細に捉える尺度を作成した。 さらに、子どもの問題行動を簡易的、かつ包括的に捉える尺度を作成した。この尺度は19項目から構成され、下位因子として①注意・実行因子、②怒り・攻撃性因子、③自己主張因子となる。これらの因子は、内在化の問題、外在化の問題、対人関係の問題に対応すると考えられる。 最終的に、家族関係を測定した項目から、クラスタ分析により家族の形態を分類(以下、家族構造)したところ、思春期の青年を持つ家族構造を3~4タイプに分類された。この家族構造の違いにより、子どもの問題行動との関連を検討したところ、家族構造の形態の違いと子どもの問題行動との関連性が認められた。この結果を基に思春期の子どもの内在化の問題、外在化の問題、対人関係の問題とどのような家族構造の形態が関連するかを考察し、思春期の家族関係の在り方を示した。
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