水の電気分解により水素と酸素を発生し、水素を燃料電池の燃料とし発電して電力回収し、酸素を殺菌・水質浄化効果の高いプラズマ形成オゾンの原料として利用する燃料電池を用いた省エネルギー型非熱プラズマ水質浄化技術を提案する。これらの学術的研究を行い、一般細菌を30秒で100%の殺菌性能を有する水質浄化技術の完成を目指す。今年度の成果は以下の通りである。 前年度の燃料電池と電気分解を利用した酸素発生技術とプラズマ放電の最適化をもとに実機省エネルギー型非熱プラズマ水質浄化システムを構築した。具体的には実用的に水質浄化を行うために水素発生能力500 mLクラスの電気分解装置を導入した。電気分解装置から発生する酸素をオゾナイザでオゾンへ変換する。さらに、発生電力30Wクラスの燃料電池を導入し、システムを完成した。実験の結果、電気分解に投入する電力に対して11.4%の電力を回収することができ、酸素発生エネルギー効率は0.10 L/Whであった。圧力変動吸着法方式と比べると酸素発生エネルギー効率は60%程度であるものの、酸素濃度は99.9%と高純度であるため、有害な窒素酸化物を排出しないクリーンなシステムである。これまでのオゾン発生技術で問題となっていた環境負荷の問題を解決することができ、研究成果の意義は大きい。 次に構築したシステムの風呂水に対する水質浄化、特に殺菌能力について調査実験を行った。500 mLの風呂水に対して、オゾンのバブリングによって殺菌を行った。わずか5分で完全殺菌が可能であることが分かった。例えば、一般細菌では殺菌無しの場合、培養後のコロニー数は平均53.3 CFU/mLであり、5分間の殺菌では0となった。当初予定していた最適化までは至らなかったものの、システムの完成および殺菌効果の検証を行えたため、実用化を考慮すると研究成果の意義は大きい。
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