研究課題/領域番号 |
15K21332
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
新井 智之 埼玉医科大学, 保健医療学部, 講師 (70583061)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ロコモティブシンドローム / ロコモーショントレーニング / 高齢者 / 追跡調査 |
研究実績の概要 |
本研究の前身的研究として、我々はロコトレ介入の効果を検証するために、60歳以上の中高年者303人(介入群184人、コントロール群119人)を対象にした無作為化比較対照試験を実施しており、ロコトレの運動機能改善効果を明らかにしている。本研究では,介入後の対象者の3年間の追跡研究を実施し、ロコモーショントレーニング(ロコトレ)の長期効果を明らかにすることを目的としている。 本研究の当初の予定の対象者は、我々が以前に実施したロコトレ介入研究の303人であったが、この対象者に加え、それ以前にロコモに関する横断調査を行った462人も対象者に加えて、765人の追跡調査を行うことに変更した。追跡調査は3年で3回実施する予定であり,1年目と3年目の調査はアンケート調査のみ実施し,2年目の調査ではアンケート調査に加え,運動機能測定(握力、5回立ち上がり時間、歩行速度、片脚立ち時間、2ステップテスト、立ち上がりテスト)を実施した。 1年目のアンケート調査では674人からの返信があった。2年目の追跡調査では運動機能の測定に参加した対象者が374人,アンケート調査のみ可能であった対象者が143人であり、合計して517人が追跡可能であった。3年目の追跡のアンケート調査は今年度に終了し、565人から返信を得ている。 1年目の追跡調査では、ロコトレ介入群はコントロール群に比較して、転倒発生率が低かった。特に女性においては,ロコトレ群で有意に転倒発生率が低下しており、ロコトレは転倒予防効果があることが明らかとなった。また2年目の追跡調査では、ロコトレ群の運動機能が低下しておらず、維持されているという結果を得ている。3年目のアンケート調査の結果では、介入群の生活機能が維持されていたが、コントロール群との有意差はみらなくなっており、さらなる詳細な検討を今後行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定よりも、追跡調査の対象者が増えたことに加え,2年目の調査では,アンケート調査だけでなく,実際に対象者に来ていただき、運動機能などを実際に測定することができた点については、当初の予定以上に研究が進んでいるといえる。しかし、2年目で運動機能測定を追加した影響で、2年目以降の追跡調査の時期が遅くなってしまった。 平成29年度では最終の3回目の追跡調査を終えたが、調査時期が遅れた影響で、研究結果を論文にすることが遅れている。そのため平成30年度には研究結果をまとめる作業をおこなう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度から平成29年度にかけて実施した3年間の追跡調査およびデータの解析は概ね終了している。平成30年度は3年間の追跡調査のデータを整理し、研究結果としてまとめ、論文投稿を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3年間の追跡調査に関するデータ収集・整理・解析は終了している。しかし追跡調査の時期に遅れが生じたため、論文執筆が遅延し、次年度への助成金の繰り越しを申請した。平成30年度では、論文投稿のための費用として使用する予定である
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