研究課題/領域番号 |
15K21336
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
石川 雅浩 埼玉医科大学, 保健医療学部, 助教 (70540417)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 病理画像 / 医用画像処理 / 移植腎 / EVG染色 / 糸球体 / マルチスペクトル / 色素量推定 |
研究実績の概要 |
本研究は,移植された腎臓の拒絶反応を病理画像処理により推定することを目的とし,病理標本中の糸球体や萎縮尿細管を抽出する技術の開発と,組織の経時的変化から拒絶反応の推定に取り組んでいる. 今年度は,連携研究者から提供された26枚の病理標本画像を用いて組織構造認識法の検討を更に進めた.提供された全ての画像から皮質尿細管,髄質尿細管,糸球体の特徴量を算出し器械学習を用いた分類精度検証を行った.標本数の増加に伴って,糸球体の抽出精度が低下したため,抽出法の改善法を再検討し新たなアルゴリズムを構築した.組織構造の認識手法については,国際学会にて研究成果を発表済みである. 合わせて,連携研究者よりEVG染色よりもPAS染色の方が病理診断に適しているというコメントがあり,EVG染色標本に加えてPAS染色の組織構造抽出についても検討を開始した.構造認識の基礎技術となる,色情報を用いたPAS染色画像中の細胞核,線維の抽出法を構築した. 加えて,連携研究者より各病理標本被験者の臨床データと組織障害の時系列データを用いて組織障害の推定可能性について検討を行った. マルチスペクトル画像については画像自体の精度向上のため撮影方法の再検討を行い撮影画像のハイダイナミック化のプログラムの構築も行った.マルチスペクトル画像の構造認識については,組織構造の多彩な肝病理標本を対象に検討を進め国際学会にて研究成果を発表済みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病理標本中の構造認識については,実験に使用する病理画像を増やしたところ認識精度の低下が見られた.また,合わせてPAS染色標本中の糸球体構造認識についても研究を進めている.組織障害の推定については,臨床データを対象に検討を開始し,臨床データのみで80%程度の推定精度が得られることが分かった. 加えて,マルチスペクトル画像からBag of featuresを構築することで組織構造の認識精度向上の可能性が示された.
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今後の研究の推進方策 |
組織構造の認識については,更なる抽出精度向上を目指して抽出法の再検討を進める予定である.新たに開始したPAS染色画像の解析については糸球体に対象を絞って検討を進める予定である.マルチスペクトル画像を用いた構造認識については,これまで組織構造の多彩な肝病理画像を対象に適用してきたが,今後は腎病理標本画像への適用を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を論文として2016年度に発表予定であったが,データ数を増やしての検討を行い論文投稿が年度中に間に合わなかったため次年度使用の必要が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
残額については,計画通り論文投稿等にかかる費用として使用する計画である.
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