研究課題/領域番号 |
15K21339
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
諏訪 絵里子 大阪大学, キャンパスライフ支援センター, 特任講師(常勤) (40707692)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / 日本人学校 / 異文化カウンセリング |
研究実績の概要 |
平成28年度は、ナイロビ日本人学校における特別支援として、パッケージプログラムの実施、及び同プログラムの問題点の検討と改良を行った。初年度に調整した物理的・環境的基盤の上でパッケージプログラムの実施を試みることとし、当初の計画通りインターネットによる教職員研修を2回、現地巡回相談支援を2回行った。そして、教職員に対するコンサル、生徒・児童に対する直接的な介入、ケース検討などを通して、困難を抱える生徒・児童への支援、また彼らを支える教職員への支援とすることができた。 一方で、パッケージプラグラムを実施していく中で、いくつかの問題点や課題が浮き彫りとなったため、現地教職員との交渉や相談を重ね、問題解決にあたった。また、平成28年度は危機介入や治療的介入などの専門的な対応が必要となる困難事例がいくつか生じ、当初想定していた学修支援や障害支援だけでなく、心理支援の必要性も高いことが明らかとなった。そこで、専門機関や専門常駐スタッフというリソースがない地での、子ども達やその家族へのメンタルヘルスサポートや危機介入の在り方やその方法について、現地教職員と検討を重ねた。このような活動を通じて、最終年度に向けてパッケージプログラムの具体的改良に取り組むとともに、新たな視点を加えたより現地のニーズを反映した支援システムの構築を目指すこととなった。 更に、他国の小規模日本人学校の視察・聞き取り調査も行い、ナイロビ日本人学校との違いや共通点を検討し、現地教職員と情報共有をするとともに、ナイロビ日本人学校の特徴にあった支援の在り方を考える一助とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本人学校は教職員や児童・生徒の入れ替わりが激しいという特徴があり、当該学校においても初年度とは現地協力者、当事者が異なるという環境の中での研究実施となった。そのため、情報共有がうまくいかなかったり、研究に対する認識のずれが生じるなどの問題が生じやすくなるため、プログラムの趣旨やその目的に対する説明を改めて行ったり、プログラム実施の打ち合わせを一から行うなう必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
現地教職員との連携・情報共有の方法や、現地担当者間の引継ぎの在り方を再検討した。特に、必要に応じてプログラム内容やその目的を各自で適宜確認し共有できるよう、本研究についての紹介・報告冊子を作成し、現地教職員へ配布した。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地協力者(現地教職員や保護者、児童・生徒)の交代により、成果の学術発表が見送られることとなった。また、同じ理由で支援プログラムの実施自体に困難が生じ、その解決に時間を要したため、調査に割ける時間が不足してしまった。そのため、調査研究発表に用いる予定であった分の助成金に一部未使用額が出た。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、前年度までに改良したプログラムの実施を行い、その実施可能性と効果を検討する。更なる改良が必要であれば、適宜柔軟に対応する。この支援プログラムの効果については、教職員や保護者、児童・生徒への聞き取りやアンケート・インタビューを通して明らかにする。そして、それらの改良のプロセスを含むプログラムの全体像やアンケート・インタビューの結果、今後の課題を記述することで、小規模日本人学校の支援プログラムの一モデル、及び支援システムの構築プロセスとして総括する。
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