本研究の成果は3点である。(1)パリ協定の合意に至るラテンアメリカ諸国の気候変動政策の対外政策過程を分析した。(2)ブラジルとメキシコで気候変動政策をめぐる政策課題の争点と環境NGOの抗議行動を確認した。その結果、政府と環境NGOにより構成される気候変動ネットワークが深化したブラジルとは対照的に、メキシコでは政府と官僚が政策形成過程を独占し、環境NGOが制度内に参画しづらい状況にあることを特定した。(3)地球規模の課題に取り組むラテンアメリカ諸国の統治構造に示唆を与えた。上記の課題は東南アジアや東欧の新興諸国でも適用可能性が高く、多国間比較を視野に比較環境政治の理論・実証面の発展に寄与する。
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