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2016 年度 実績報告書

日本漢方黎明期における薬物理論の形成と発展に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K21345
研究機関帝京平成大学

研究代表者

鈴木 達彦  帝京平成大学, 薬学部, 講師 (70737824)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード漢方 / 伝統医薬 / 生薬 / 医学史 / 曲直瀬道三 / 田代三喜 / 能毒 / 本草
研究実績の概要

田代三喜の薬物書である能毒書については、これまでに見出していた内藤記念くすり博物館所蔵『当流能毒集』(T0293)のほか杏雨書屋所蔵の『能毒集新撰之方』(乾1801)を見出し報告した。田代三喜の弟子である曲直瀬道三の初期の能毒書には大きく分けて2系統あり、1つは漢文体を基本として記載されるもので、京都大学富士川文庫所蔵『薬性能毒』(イ/216)、杏雨書屋所蔵『薬性能毒』(乾5329)がある。もう1つは漢文体に仮名まじりの記載があるもので、龍谷大学図書館所蔵『能毒』(690.9/431-W)、京都大学富士川文庫所蔵『能毒全并追加』(ノ/5)があり、なかでも内藤記念くすり博物館所蔵『能毒全部』(44365)は、ほとんどの記載で読み下されている。これらの初期の能毒書の成立についておおよその年代を特定し報告した。
田代三喜は生薬の表記について生薬の効能から作字をつくり、表記する文字自体に意味を持たせて生薬の運用に役立てたと考えられる。一方、曲直瀬道三は作字を採用しないが、生薬名の四隅、または中央に薬性を表す色分けした点を打つことにより、生薬の薬性について視覚的な情報を加えており、田代三喜の影響を受けているとみなせる。
曲直瀬道三以後の能毒書における中国医学の影響については、主流本草ともいえる『証類本草』および『本草綱目』の引用について確認できたが、それ以外にも我が国には影響がそれほど見られない中国の本草書の影響も一部に確認することができたため、今後精査ののち報告の予定である。また、曲直瀬道三の治療例を記した『出証配剤』における使用生薬と田代三喜の作字によって示された薬物の効能との関係をみたとき、治療例の生薬に効能の偏りがみられた。薬物理論と実際の臨床での応用例の関係を明らかにするものとして本研究の発展的な研究として継続したい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)

  • [学会発表] 日本漢方黎明期における漢方処方の命名法に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      鈴木達彦
    • 学会等名
      日本薬学会第137年会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2017-03-24 – 2017-03-27
  • [学会発表] 曲直瀬流の薬物書「能毒」について2017

    • 著者名/発表者名
      鈴木達彦
    • 学会等名
      日本東洋医学会千葉県部会
    • 発表場所
      千葉市生涯学習センター(千葉県千葉市)
    • 年月日
      2017-01-29 – 2017-01-29
    • 招待講演
  • [学会発表] 日本漢方黎明期における薬物理論について2016

    • 著者名/発表者名
      鈴木達彦
    • 学会等名
      第11回鍼灸学校教員のための古典講座
    • 発表場所
      北里大学(東京都港区)
    • 年月日
      2016-08-07 – 2016-08-07
    • 招待講演
  • [学会発表] 田代三喜から曲直瀬道三へ-日本漢方の黎明期における薬物理論の継承-2016

    • 著者名/発表者名
      鈴木達彦
    • 学会等名
      第67回日本東洋医学会学術総会、伝統医学臨床シンポジウム
    • 発表場所
      サンポートホール高松(徳島県高松市)
    • 年月日
      2016-06-03 – 2016-06-04
    • 招待講演
  • [学会発表] 曲直瀬道三『薬性能毒』と杏雨書屋所蔵『救急本草』に関する研究2016

    • 著者名/発表者名
      鈴木達彦、鈴木美津穂、並木隆雄
    • 学会等名
      第117回日本医史学会
    • 発表場所
      広島県医師会館(広島県広島市)
    • 年月日
      2016-05-21 – 2016-05-22

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公開日: 2018-01-16  

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