研究課題/領域番号 |
15K21352
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
石田 研太郎 青山学院大学, 理工学部, 助教 (20707898)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 上皮・間葉相互作用 / 器官培養 / 器官再生 / 皮膚再生 / 頬ひげ原基 / 三叉神経節 / 器官形成 / Whisker-barrel pathway |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究は、研究実施計画にしたがって実施し、以下の成果を得た。 3、再生頬皮膚における一方向的・連続的頬ひげ原基誘導方法の開発 平成27年度までに、再生頬皮膚と頬ひげ原基を培養皿上で作製する技術を開発した。再構築する皮膚上皮・間葉の細胞数を増やして再生皮膚の長さを伸ばすことにより、複数個の頬ひげ原基を誘導することを可能にした。しかしながら、頬ひげ原基の誘導は皮膚全体で均一に始まるのではなく、皮膚の両端から優先的に誘導される傾向が観察された。この現象は、並行して進めている再構築皮膚・羽毛原基の作製に関する研究でも観察されており、典型的な反応拡散モデルを用いた数理シミュレーションでもこの現象を再現できた(論文投稿準備中)。このことから、本研究で用いている細胞操作実験系に共通する本質的な現象だと考えられた。以上のことから、本実験系においては、外部から増殖因子などの刺激を与える必要なく、一方向的(皮膚全体から見れば、双方向的)かつ連続的な頬ひげ原基の誘導が可能であることが明らかとなった。 4、再生頬ひげ原基誘導場での神経回路網再構築方法の開発 頬ひげ原基に接続する感覚神経の細胞体は三叉神経節に存在する。そこで、再生頬ひげ原基に神経を接続させるために、三叉神経節の摘出と培養方法を開発した。マウス胎仔の頭部から三叉神経節を顕微解剖で摘出し、神経成長因子(NGF)を含む培地で培養したところ、神経細胞が少なくとも7日間生存し、神経軸索を伸ばし続けることが明らかとなった。そこで、再構築した頬皮膚細胞と三叉神経節を共培養したところ、形成した再生頬ひげ原基の機械的刺激受容細胞(メルケル細胞)に神経が接続している様子が観察された。以上のことから、再生頬皮膚・頬ひげと神経回路の接続を培養皿上で再構築できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画において、平成28年度の課題である項目3、4の技術開発を予定どおり達成した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に予定している研究項目の数理モデルの構築に関しては、現在並行して進めている再構築皮膚と羽毛原基の作製に関する研究で構築した数理モデルを改良することで達成できると考えている。もう一つの研究項目の再構築皮膚における頬ひげ原基の形成パターンに関しては、上記と同様に再構築皮膚と羽毛原基に関する研究により、その原理は明らかにしつつある。そこで、形成した頬ひげ原基の特定の部位に、いかにして感覚神経が接続するのかに焦点を絞り、研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、平成27年度(計画1年目)に購入を予定していた大型機器を譲渡により入手できたため、予定よりも支出額が減少したことによる。平成28年度(計画2年目)は、研究の質と量の向上を目的として物品費に重点的に充てたため、次年度使用額は計画1年目終了時より減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度と同様に、物品費(特に実験動物費と試薬類)に重点的に充てることによって研究計画の推進を図る。
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