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2015 年度 実施状況報告書

高温環境下におけるガラス成形用金型離型膜の密着力および耐久性評価技術の確立

研究課題

研究課題/領域番号 15K21354
研究機関青山学院大学

研究代表者

伊藤 寛明  青山学院大学, 理工学部, 助教 (70534981)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード密着性状 / 離型膜 / ガラス成形 / レーザ超音波 / DLC
研究実績の概要

ガラス成形用金型離型膜であるダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の高温での密着性状を定量的に評価するために,レーザスポレーション法による評価を試みた.既存の装置システムに冷却水循環機構および,赤外線ランプとセラミックヒータを用いた局所加熱機構を追加した新たな装置システムを作製することで,レーザ照射部を500℃程度に加熱することに成功しており,高温環境下での薄膜の密着性状評価が可能となった.
また,密着性状を定量的に評価するには,基材/皮膜界面に作用する応力を推定する必要があるため,有限差分時間領域法(FDTD)による数値シミュレーションを実施し,界面に作用する応力を推定した.
上記の装置システムを用いて膜厚1μm程度のDLC膜に対して,レーザスポレーション試験を実施し密着性状の評価を試みたが,現状ではDLCをはく離させるまでに至っていない.この原因としては,膜厚が超音波の波長に比べて非常に薄く,弾性波の反射波と進行波の干渉によって界面に作用する応力が当初の予定よりもかなり低かったことが考えられる.今後はレーザの繰り返し照射回数を増やし実験を行う予定であるが,はく離が発生するかは不明であり,本手法で1μm以下の皮膜の密着性状を評価するには,照射するレーザパワーを更に高いものに変更する必要があると考えらえる.
以上のことから,今後はレーザスポレーション法の更なる検討に加え,熱衝撃試験によってDLC膜の密着性状および金型耐久性を評価する.DLC膜を酸化させずに熱衝撃試験を実施するために,試験片をガラス管内に真空封入した後,加熱炉による昇温および水冷を実施したところ,熱衝撃試験を数回繰り返した際にDLC膜が基材からはく離することが確認できている.今後,DLC膜の中間層構造や基材の種類を変更して熱衝撃試験を実施することでガラス成形用金型離型膜として最適なDLC構造を明らかにする.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

既存のレーザスポレーション試験システムの改良を行い高温環境下での薄膜の密着性状の評価は可能となったが,対象とするDLC膜の膜厚が1μm以下と極めて薄いことから,はく離に十分な応力を界面に付与できていない.今後レーザ照射回数を増やし繰り返し試験を行うことでDLC膜をはく離させる予定である.
一方で,次年度に実施予定であった熱衝撃試験による密着性状の評価を既に開始しており,熱応力によってDLC膜がはく離することが確認できた.本研究の目的であるガラス成形用離型膜としてのDLC膜の密着性状評価および最適なDLC膜構造の評価に対しては,上記理由から80%の進捗と評価した.

今後の研究の推進方策

平成28年度は熱衝撃試験による密着性状評価を中心に進める.中間層元素や基材種の異なる複数のDLC試験片を用いて繰り返し熱衝撃試験を実施する.熱衝撃試験後のDLC膜のはく離や損傷面積を評価するとともに,ラマン分光分析を実施しDLC膜の構造変化と密着性状との関係性を調査する.また,有限要素解析を援用し熱衝撃試験によって基材/皮膜界面に生じる熱応力を推定し,密着性状を定量的に評価する.
また,レーザスポレーション試験ではDLC膜のはく離に十分な応力を付与できない可能性が高いことから,代替として繰り返し圧子圧入試験を実施する.本試験においてもセラミックヒータおよび赤外線ランプを使用することで高温環境下での密着性状の評価を可能とする予定である.なお,界面に作用する応力は有限要素法による熱―構造連成解析によって推定する.
最終的には,熱衝撃試験,繰り返し圧子圧入試験から得られた密着性状評価結果を総合的に判断し,ガラス成形金型用離型膜として最適なDLC膜構造を明らかにする.

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公開日: 2017-01-06  

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