本研究は,既存の集団の枠(境界)を越え,異質な人々が緩やかに繋がり学び合い,時に組織変革や社会変化を目論む「越境活動」に焦点を当て,学習論(活動理論)を軸にして,1)職場,2)職場外,3)社会運動といった複数のフィールドで発生している越境事例を対象に,越境活動の内実の解明,実践,理論構築を行った。その結果,異なる集合体の文化が出会う中で発生する新たな知のミクロな形成過程と,越境活動を先鋭化することで発生する集権制,資本制に代わる分散型社会の諸特徴の一端が解明された。そして,それらを総括し,越境論の理論的体系化を行った。
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